リニア中央新幹線開業へ…新駅・トンネル工事進む長野・飯田市、地域の将来像をどう描くか
期待背負い効果波及狙う
リニア中央新幹線の開業に向けて、長野県南部では路線工事が着々と進んでいる。飯田市では「長野県駅(仮称)」の整備で高架橋の建設や、トンネル掘削が進む。建設費高騰や沿線の人口減少など課題も抱えており、地域の将来像をどう描くかが問われている。(長野・阿部俊介)
リニア中央新幹線は品川-名古屋間を結び、長野県内には飯田市に長野県駅が設置される計画だ。開業すれば品川-飯田間を45分となり、首都圏や中京圏との時間距離は大きく縮まる。地域では交流人口の拡大や産業振興に期待が高まる。
県内では計52・9キロメートルの路線計画で、そのうち大部分の48・5キロメートルをトンネルが占める。トンネルは全部で四つあり、最長の中央アルプストンネルは約23・3キロメートルにもなる。
トンネル工事で発生する土の活用も進む。飯田市下久堅では、窪地だった約3ヘクタールの土地に約21万立方メートルの発生土を投入して平地に造成し、農地として平坦化する土地改良事業を実施している。リニア中央新幹線は新たな交通インフラの整備だけでなく、地域の土地利用や営農環境の改善にも有益な影響を及ぼしている。
飯田市はリニア中央新幹線の長野県駅の開業に向け、駅前広場の整備を計画している。県も道路整備を進めるが、駅予定地は空き地が広がり、すぐそばに宅地が迫る状況で、まだ具体的な街の姿は見えていない。リニア効果をどう地域全体に波及させるかは今後の課題だ。
それでも地域の期待は根強い。長野県駅を見渡せる「いいだリニア展望台」が設置され、5月から開園日を絞って一般公開されている。展望台に向かう工事現場の仮囲いには、長野放送(長野市)が主催したリニアをテーマにした小学生向け絵画コンクールの受賞作品が並ぶ。作品にはリニアを通じて人や地域が結ばれる様子が描かれ、巨大プロジェクトへの期待は次世代にも受け継がれている。(水曜日に掲載)